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♪ Toru=Y.G. in the Bar ♪

オリジナル曲とか、自作詩とか、ちょっとした小噺とか... 載せていたはずのブログでした...                                                   現在は名曲紹介をメインでヤってます

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ツバメ 

 まだ肌寒い3月の終わり、
彼は、春を求めてその島にたどり着いた。
人里を求めてまだ幾分の距離を
羽ばたかなければならなかったが、
上昇気流の中、不意に乱気流に巻き込まれ
怪我を負った彼は外れの浜辺に落ち、
意識を失ってしまった。

......どれほどの間眠っていたのだろう、
辺りは黄昏に染まり、静けさが世界を包んでいた。
やがて、再び深い眠りが襲ってきた。

次に目覚めた時、
彼は自分の体が草むらの中にあることを知った。
「砂浜に落ちたはずなのに...」訝しがる彼の傍には
まだ潮の匂いの残る小魚が落ちていた。
「何故?」という疑問は、
幾日もの絶食を経た空腹の前では意味を成さなかった。
遠くで、美しい鳴き声が聴こえた気がした。

次に日が昇る少し前、
彼はまどろみの中で、物音を聞いた気がした。
うっすらと目を明けると、
草むらに、くわえた小魚を置いている鳥の姿があった。


あれから、幾月かが経過した。
彼はそれを出会いと呼んだ。
彼女が“カモメ”という種の鳥であること、
自分がたどり着いたこの場所が日本という国であることを知った。
彼は、自分達が“ツバメ”と呼ばれる種であることさえ
彼女の口から始めて聞いたのだった。
既に彼の翼の傷は癒え、
彼は彼女に感謝していた。
それ以上に、彼は自らの黒さとは異なる
彼女の純白の翼を美しいと感じた。
彼の中には今まで仲間の異性にさえ感じた事のない、
淡い想いが芽生えていた。

 やがて夕日の美しい季節になり、
また鳥たちにとっての旅立ちの季節となった。
その頃には彼女の心にも、
彼に対する特別な感情が生まれていたが、
互いが違う空を目指さなければならないことは
変えがたい現実だった。
仲間から逸れ、同じ空を目指すことは、即ち死を意味していた。
...二羽(ふたり)は互いの眼を見つめ、
生きることを約束した。
もう巡り合うことはないだろうと知って
互いの空へ飛び立つことを誓ったのだった。


 ツバメとカモメの“生”という偉大なる選択に、
彼らを誇鳥と呼ぼうか...
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2014/02/27 Thu. 19:00  edit

Category: プチ小説

Thread: 自作小説 - Janre: 小説・文学

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